アスペルガー気質を活かしたり、ハンデを乗り越えたりで掴んだ作業療法士の猿田ももかさん

猿田さんの目白大学入学のきっかけからご自身の個性を大切にしてくれたご友人や先生とのエピソードなどについてはインタビュー前半をご覧下さい。

猿田さんのインタビュー後半は、卒論のことや就活、国家試験対策のことからお聞きいたしましたので、ご覧下さい。

アスペルガー気質を活かしたり、ハンデを乗り越えて掴んだ作業療法士の猿田ももかさん

卒論は選択制、同時進行の就活と国試対策

猿田ももかさんの卒業式の日のお写真

インタビュアー(以下イ):では、続いてはお聞きしていきます。猿田さんの学部・学科ですと、卒論みたいなものはあるんですか?それとも別の課題があるのでしょうか?

猿田ももかさん(以下猿田さん):そうですね、卒論は選択科目になっています。卒業案件を満たしていて、選択する子はほぼいません。卒論を選択する子は卒論をしないと卒業案件を満たせない子や、どうしても卒論を書きたい子以外は選びません。就活と国試対策をします。以前、先生が少し言っていたのですが、何年か前までは卒論も必修だったみたいです。そうすると、卒論と就活と国試対策の3つ同時並行でしないといけないので、3つの同時並行が難しい生徒が増えてしまって、国試の合格率が下がった年があったみたいで、国試の合格率を上げるために次の年から卒論が選択制になったそうです。就活で内定先が決まっても国試が落ちてしまったら内定取り消しになり意味が無いので。

イ:3つの同時進行はなかなかハードですよね。2つでもハードなのに。国試対策の対策はいつぐらいから始まるのですか?

猿田さん:実習が全て終わるのが7~8月ぐらいなので、9月から国試対策になります。それ以前にゼミ単位で8月から始まるゼミもあります。でも少しです。私の所属していたゼミは国試対策はあまりしませんでした。自分の場合は、9月から学年全体で国試対策が始まります。大変なことは、ほぼ毎週必ず火曜日固定で模試があります。特別ゼミというシステムがあります。全ての成績の下位10人が集められて、国試対策の特化した授業があります。自分も実は最初入っていて、アスペルガー気質みたいなところがあり、アスペルガー気質の子たちは一概には言えませんが、以前の国試対策でも問題で出て来たことがあります。アスペルガー気質の子たちは自閉症の中でも知的な遅れや言葉の遅れは無いので、授業を聞いて期末テストで授業の成績を出す講義科目は得意なパターンもあります。

自分の場合も講義科目はAが多く、苦手な運動が入るとCの評価をもらってしまってました。自分の場合は、講義科目では無い実技のものが成績で足を引っ張っていました。演習科目もアスペルガー気質の子たちは話し合いが凄い苦手なんですね。自分の考えを話す、コミュニケーション面が一番自閉症の子たちは大変です。頑張っていましたが、演習や実習は苦手で大半はCでした。いくら講義で頑張っていても演習や実習の成績が足を引っ張ってしまっていたので、下位10人に入っていましたので、私の場合は忙しかったです。

このあと、アスペルガー気質について、ライターも仕事柄、アスペルガーの方と交流があるので、猿田さんとは少しお話をさせて頂きました。

アスペルガー気質の人は抽象的に「これこれこうなんだけど、どう思いますか?」というのが凄い苦手なので、いつの間にか意味をはき違えてしまって、相手方が答えて欲しいことと違うことを言ってしまったりします。担任の先生も最初から違和感があったらしいです。講義と他の科目との成績の差があまりに激し過ぎたこと、面談のときと、私の一番苦手な実習の担当の先生から聞いて、やっぱりと思ったらしいです。

今まで表に出なかったのは小中高と自分から行動することって学校生活で少なく、決められたことをやっていれば良く、臨機応変に動くことをそこまでしなくても良いじゃないですか?自分の場合は小学校のときから「運動出来ないんだから、勉強しなさい」と言われていました。私の場合は、主要5科目に関してはトップの成績を取っていました。でもそれ以外の副教科が全て下から数えた方が早かったです。運動に関しては早産だったこともあり、そちらが理由で、アスペルガーだとは思われないので、主要5科目が成績が良かったからこそ、気付かれなかったのかなと思います。言われてみれば、人間関係も小学校のときから上手くいったことはありませんでした。身体発達の遅れても小学校1年生のときから、外見は普通に見えるので、周りから理解されませんでした。小1から、いじめられていました。あだ名でいじめられたり、身体発達が原因でいじめられたりしました。

このあと、猿田さんのいじめの話をお聞かせ下さいました。授業で辛かったお話もして下さいました。生活の中で、小学校や中学校で助けてくれた先生もいらっしゃったようで、お聞きしていて本当の意味で猿田さんのお気持ちを考えると良かったとは言えませんが、少しでも救いがあったことは良かったと思いました。猿田さんには今後の人生をより良く送って頂ければ幸いです。このあとは作業療法士を目指すきっかけをお話し下さいました。

作業療法士を目指したきっかけは、自分がお世話になったから

猿田さん:作業療法士になったきっかけは、私自身、早産でも医者には産まれたときに身体発達は遅れるし、劣るし、リハビリをして歩けるかどうかという感じだったんですよ。1歳半~2歳半ぐらいまで重症心身障害児施というところに通っていたらしく、そこで作業療法士さんのリハビリを受けて歩けるようになりました。恩返しでは無いのですが、自分でも誰かの助けになれたら良いのかなと思い、作業療法士を目指しました。

イ:素敵なお話をありがとうございます。実際に作業療法士を目指すために国試を受ける、就活もやる上で大変だったことをお聞かせ頂けますか? まずは、国試は何が大変でしたか?

猿田さん:暗記は得意だったので、国試は正直大変なことはあまり無かったです。しいて言えば、模試の解き直しがめちゃくちゃ多かったので、それは大変でした。あとは、特別ゼミのシステムが自分には合わないことがきつかったです。私は夜型で普段は朝が遅いので、朝6時に問題が送られて来るのは、本当に大変でした。特別ゼミの判定の基準が全ての成績に即した形で、講義科目だけではなかったので、自分にはシステムが合わないと感じました。特別ゼミに入ってましたが、模試は半分以下の成績を取ったことが無かったので、尚更きつかったです。2日か3日に1回のペースで自分で問題を作成して解説を発表するというシステムがあったので、時間を取られてしまうので、自分にはこのシステムは合わないと感じました。10月ぐらいにゼミの先生に相談したら、相談した2日後ぐらいには、ゼミの先生が特別ゼミの担当の先生に相談してくれて特別ゼミをやめることになりました。この後、自分のペースで勉強出来たのは良かったです。

イ:猿田さんにとっては、特別ゼミのシステムは合わなかったんですね。では続いてなのですが、就活は何が大変でしたか?

猿田さん:就活は身体ハンデもあります、アスペルガーもありますというので、先生とめちゃくちゃ面談をしました。先生に凄い助けれて頂きました。「真面目だから、みんなに合わせなきゃいけないと思うとしんどいし、周りが出来て猿田さんが出来ないことは多いから、配慮してもらうところは配慮してもらって、出来ることをすれば良いから」という言葉は凄い助かりました。

小中高のいじめもあり、自分が行動するのが怖かったんです。それがありましたが、先生からは「もう大人の世界だから自分からいっても大丈夫!」と励まして頂いたのが本当に大きかったです。その後、先生からは「ゼミの他の子たちの勉強面でのサポートもお願いね」と言ってもらえたことも嬉しかったです。

実際に就活を開始して、履歴書の添削から始める人が多いと思うのですが、自分の場合は、早産のことをどこまで開示して面接のときにどこまで説明するかを考えなければいけなかったです。でも、ゼミの先生が自分が考える前に先に色々考えて下さったので、事前に就活は学年で一番難航するかもと言われていたんですが、10月から情報開示の話を始める→履歴書の添削→面接練習して、内定が出るまでに2か月かからなかったです。一発内定なのは良かったです。就活が早めに終わったのは良かったです。

イ:おお、それは早い!内定先の病院に就職を決めたきっかけを教えて下さい。

猿田さん:今の病院に決めたきっかけは、病院見学をしたときに、いいなと思ったところが個性を大事にするところでした。自分が苦手なところは、ほかの得意な職員さんが手伝ってくれるところです。私を案内して下さった作業療法士さんは、脳性麻痺を持っている作業療法士さんでした。作業療法士さんは全く問題なく手を使えて、歩けはするのですが、足が使えない方でした。「個性を大事にするので、身体ハンデの部分が心配だと思うけど、あまり気にしなくて大丈夫だよ」とその方には仰って頂けました。他にも弱視の作業療法士さんがいたり、見た限りでは分かりづらかったりするハンデを抱えている職員さんが普通に無理なく働いている職場だったので、ここなら自分でも配慮して頂ければいけるかもしれない、良いなと思ったので決めました。

イ:まだ、猿田さんは働いて1ヶ月ぐらいですが、新社会人として働いてみていかがですか?(インタビュー時期は4月下旬です)

猿田さん:まだ、新人なので覚えることはたくさんありますが、覚えることは得意なので、出来るかなと。働きやすい病院で、周りの職員さんは全員優しいですし、配慮もしてくれます。私が働いている病院は9階建ての大きい病院です。作業療法士の配属が階配属になっていて、階によって特殊疾患や認知症などに分けられています。病院見学のときに「精神と身障、どちらが良いですか?」と希望を聞かれ、精神が良いと答えました。身障ですと、私自身、身体ハンデがあり、配慮をして頂いても少し仕事が厳しい部分がありました。私自身、レクリエーションの方が好きということもありました。私自身の希望や配慮をして頂くことが通り、今は私が担当しているのが集団認知病棟と呼ばれる、精神の担当している病棟です。仕事で患者さんをデイルームと呼ばれている場所に移動させることがあります。ベッドから車いすに移動させることもあるので、その方々は他の作業療法士さんが移動をさせるという配慮をして頂き、ベッドのまま移動する患者さんは私が担当しています。このような配慮をして頂いているのがものすごいやりやすいです。また、今の勤務先に、同じ科に新人が11人に入っていて、目白の卒業生が私を含めて3人いて、みんな同じクラスだったんですよ(笑) たまたま同じクラスで大集合しました(笑) 他にも一人同じ大学の子がいて、新人みんな仲が良いので相談しやすいのもとてもやりやすいですね。

目白大学の一番新しい卒業生として、在学生へのメッセージ

イ:患者さんにとっても猿田さんたち勤務なさっている方にとっても良い病院なのですね。猿田さんが素敵な病院に入られて良かったと感じます。引き続きなのですが、猿田さんは今一番新しい卒業生になるわけなのですが、在学生へのメッセージをお願いします。

猿田さん:4年生から国試対策と実習で忙しくなるので、3年生のときに遊べるときに遊んでおくと良いかもしれません(笑) コロナ禍で厳しい部分もありますが、遊んでいるときは遊んでおかないと、4年生は遊べないですし、就職してからも連休があっても忙しくなるので、遊んでおくと良いと思います。

猿田ももかさんの普段の活動

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今回と前回は今、目白大学の卒業生で一番新しい2021年度卒の猿田ももかさんにお話をお聞きいたしました。過去もお話し下さっていて、インタビューを読まれた卒業生や在学生の方にとって、とても勇気をもらえるお話になったと思います。本当にありがとうございました。その後、猿田さんは職場で更に役割が増え、信頼されているご様子のことをお聞きいたしました。これからもご活躍をお祈り申し上げます。