東京2020パラオリンピック大会のマラソンで、目白大学出身の堀越信司選手が銅メダルを獲得。目白大学の卒業生として、初めてメダルに輝いた。その堀越信司選手にインタビューをした。
パラリンピック銅メダリスト堀越信司選手インタビュー
堀越信司選手インタビュー内容
Q: 実際にメダルを手にされてどんなお気持ちでしたか?
今まで色々な国際大会に出ていて各大会でメダルを獲得してきましたが唯一出たことのある国際大会でメダルを獲っていなかったのがパラリンピックだったので、今回4度目の挑戦で初めてメダルを獲得できたことは非常に良かったと思っています。
また、自国開催のオリンピック・パラリンピックというのは、おそらく全てのアスリートにとって特別なものでしょう。自分が競技をしている間にたまたまタイミングが合い、さらに年齢が30代前半ということで経験も積んできたという中で開催されるというところでメダルが獲れたことはすごく大きなことだと思います。もちろんパリパラリンピックのメダルも目指しますが、何より自国開催のオリンピック・パラリンピックのメダルというものに大きな価値があるのではないかと思っています。
Q コンディションづくりにあって医療の方に助けてもらうということはありますか?
それはすごくあります。どうしてもセルフケアでは間に合わないですし、自分が今どういう怪我をしているのかを把握しないと適切な対処ができなかったりします。やはり医療関係の方々のアドバイスをしっかりと受けながら、自分の中で競技に続けていくことはすごく重要なことです。
特に自分の場合はお医者さんとかもそうですが、鍼治療やマッサージなどを受けるトレーナーさんがいて、その方達の話はしっかり聞くようにしています。自分で今の疲労度が例えば10段階中7か8だとしても、実際に第三者にマッサージや鍼治療などで体を触ってもらうと自分が思っている以上に筋肉が固かったり、思っている所と違うところに張りが出ていて少し痛みがあるなど自分自身で把握しきれない部分も色々な医療の知識を持っている方々に診てもらうことによって把握できたりします。そのようなサポートは自分たちアスリートにとって非常に重要なものではないかと本当に思いますし、やはりそのように支えてくださる方々には常日頃から本当に感謝しています。
Q マラソンをずっと続けているわけですが、その原動力となるものは何でしょうか?
ひとつはパラリンピックで結果を残したいという明確な目標があるのでずっと続けられていると思います。
他には実業団選手という立場で今走らせていただいているので、会社がサポートしてくださったり、また社員のみなさんが応援してくださったりがあるので頑張れるというのはすごく大きいです。会社以外にも本当に様々な方が応援してくださり、今回大学の皆さんにもすごく応援していただきました。やはり辛いことも当然あります。日の丸をつける、実業団選手として走るとなった以上は好きだけではやっていけないし、本当に社会人になって11年目でこの11年間色々なことがあり何度も挫けそうになったこともありましたし、凄い理不尽な思いをしたこともありました。でも、そんな時に社員の皆様や周りの人から「頑張って」「応援しているよ」「パラリンピック見ているから」という言葉をかけてもらえたので頑張れるし、諦めずに競技を続けることができました。なので、銅メダルも実際の重さ以上の重さをすごく感じています。パリ・オリンピックまであと3年、もう少し頑張ってみようかなと思っています。コロナ禍で1年延びたためあと3年間ですが、もし去年開催されていたら4年のスパンで考えないといけないので、もしかしたら引退していたかもしれません。しかし、来年から選考に関わる大会も始まり、3年間はみんなへの恩返しなんだという思いでまたしっかりとしたモチベーションを持ち、頑張れそうかなと思います。
Q たくさんの練習を積み重ねてこられたと思いますが、その中でも上手く行かなかった時の対処法などはありますか?
パラリンピック本番近い時に何か失敗してしまった際は、慌てたり、焦ったり、振り返ってもしょうがないと思うようにしています。その失敗を踏まえて次に繋げたり、ダメだと落ち込んでしまっても数日後にはまぁいっかと思うようにしています。状況を踏まえて考えるようにしていて失敗してしまったことを悩むよりも現実を受け止め、これからどうするかを考えることが大切だと思っています。
レース中の際には肉離れを起こしてしまった時はしょうがないと思い、今の状況の中で最大の力を発揮できるようにしようと考えるようにしています。
また、自分は眼に障害があるため給水が取れなかったり、スペシャルドリンクを取り損ねてしまうこともあります。その際もこのような失敗はあるものだ、しょうがないと切り替えるようにしています。失敗をしてしまった時は自分から背けずに望むことが大切だと思います。
Q 最後に目白大学在学生への期待やメッセージ、またご自身の今後の目標、3年後のパラリンピックに向けてのお気持ちなど教えてください。
大学1年生〜4年生までそれぞれ学年で目標に向かって一生懸命勉強したり、学生生活を楽しんでいると思いますが、やはり夢や目標はぜひ持って欲しいと思います。僕もパラリンピックがあり、記録を出したい、マラソンで1番になりたいからなどの大きな想いを持って競技を続けています。すごく辛いことがあっても頑張ってこられたから銅メダルが獲れました。結果的には目標が達成できましたが、これまで辛いことがあってもそこで諦めてしまったら自分は皆さんにお話をすることはなかったと思うし、悔しい結果で競技人生を終えていたかもしれません。必ず目標が達成できるということは言い切れませんが、夢や目標を達成するためには歩みを止めてはいけない。結果がどうなるかということを考えずにとにかく夢や目標に向かって一生懸命取り組んで精一杯頑張って最後の最後まで諦めないで夢や目標に向かって突き進むということが大事だと思います。
大学生は実はすごく難しい時期だと思うし、色々な迷いや悩みもあると思いますが、その中でも何か1つでも小さな目標でも大きな目標でもいいので目指すものを見つけ、そこに向かって一生懸命頑張る、そんな学生生活にして欲しいなと思います。いい未来を少しでも開くことができたらいいなと思うので、自分も頑張るので皆さんも一緒に頑張りましょう。
メディア学部メディア学科 三上ゼミ 編集部2年 棚澤未帆
(本インタビューは、第28回 目白大学桐榮祭の企画として収録された動画を一部割愛・要約し文章化したものです。)
堀越信司選手インタビュー YouTube
堀越信司選手 プロフィール
1988年7月19日生まれ、長野県出身。目白大学人間学部人間福祉学科卒業。 生まれた時から先天性の視覚障害があり、小学校までは競泳をしていたが中学校から陸上を始めた。パラリンピックでは2012年ロンドン大会で男子5000メートル視覚障がいのクラスで5位。前回のリオデジャネイロ大会ではフルマラソンで4位。4大会連続出場となった今回東京2020パラリンピックマラソンでは銅メダルを獲得した。現在NTT西日本所属。